2024年度 決算詳報⑤ 流通系カード会社
流通系カード3社(クレディセゾン、イオンフィナンシャルサービス、ポケットカードの2024年度決算は、...

SMBCCFの新規契約件数は37万1642件と、4.8%増加した。
反動落ちもなく、さらに新規獲得を伸ばした形だが、新規申込件数も前年度の約94万件を上回り103万8553件に達しており、申込件数が増加したことで、新規契約件数の増勢を維持できたという。
ちなみにアコムの新規申込件数は97万7597件と、4.5%減少している。
23年度の新規申込件数は、アコムの102万3978件に対し、SMBCCFは93万9337件と、アコムが8万4641件上回っていた。
24年度は逆にSMBCCFがアコムを6万956件上回った。新規契約件数はアコムのほうが多いが、2社の新規契約件数のシェアを見ると、アコムは23年度の55.5%から50.8%へ4.7%ポイント減らし、SMBCCFは44.5%から49.2%へと拡大し、差はわずか1.6%ポイントとなった。
新規申込件数の多寡は、資金需要者が借入先として最初に想起するブランド、いわゆる第一想起か否かが左右するといわれている。
その点では、アコムが最も強いブランド力を持つといわれてきたことを考えると、新規申込件数の趨勢が今後どう変化していくかが注目されるところだ。
もっとも、新規申込件数が多くても、新規契約に結び付かなければ意味がない。
その点で承認率が重要になるが、承認率には低下傾向が見られる。
アコムの24年度の承認率は39.3%と、2.7%ポイント低下した。SMBCCFの24年度の承認率は35.8%で、23年度の37.8%から2.0%ポイント下がった。
2社が共に下げているが、新規申込件数に占める低属性の顧客の比率が高まっているとも考えられるし、テスト与信の審査を厳格化しているとも考えられる。 テスト与信は初期極度額を低額に抑えた形で新規契約し、その後の利用状況が良好であれば、極度額を上げていく手法だが、テスト与信で新契約した顧客の中には、短期間で延滞・貸倒れに至る顧客も多いといわれており、審査基準を若干厳格化した可能性もある。
利息返還請求件数が一段と減少する中で、2社が共に、利息返還損失引当金に多額の繰入を行ったことも大きなポイントだ。
アコムの営業費用は1976億円と、430億円増加したが、利息返還損失引当金を400億円繰り入れたのが主因といえる。
23年度は繰入れがなかったので、利息返還関連費用は400億円の増加になった。貸倒関連費用も30億円増加したが、伸長率は4.3%増なので、残高の伸長率を下回る水準だ。
営業費用が増収額を上回って増えたことで、営業利益は252億円の減益となったが、今回の繰入れにより、利息返還損失引当金残高は480億円を確保しており、これは24年度の利息返還実績(利息返還と元本相殺の合計)の2.1年分に相当する。
アコムは25年度から利息返還損失引当金の評価方法を毎期末に実施する方法に変更しており、請求発生損失見込額と引当金の差額を毎期繰り入れる形に見直した。
今後は各年度の繰入額が平準化されると思われるが、24年度の利息返還請求件数は31.4%減少しており、22年度の10.2%減、23年度の23.9%と比べると減少スピードが加速している。
一方、SMBCCFは990億円の繰入れを行った。23年度の繰入額の6.6倍の水準だ。
これにより、引当金を1667億円に積み上げたが、これは24年度の利息返還実績の10.4年分に相当する。利息返還請求がなくなることはないかもしれないが、現在の減少スピードが続けば、利息返還実績が24年度と同水準で続くとは考えられないことから、追加繰入れは必要ないレベルの引当てを行ったといえるかもしれない。
2社ともボトムラインを下げる形となったが、25年度以降における利息返還の損益計算書へのインパクトをかなり軽減した決算だったといえそうだ。
クレジット業界を見ると、大手信販のカードキャッシング取扱高は3社ともに減少している。銀行系カード会社のFC・BCを含めたグループの実績を見ると、三菱UFJニコスとUCのキャッシング取扱高はマイナスだ。
大手流通系カードではイオンフィナンシャルサービスのみがプラスでとポケットカードとクレディセゾンは減少しており、取扱高を反転できていない企業のほうが多い。
日本銀行の統計で銀行カードローン等の25年3月末の残高を見ると、5兆1502億円と、3.9%増加している。
回復基調にあり、23年度の2.8%を上回る増勢を見せたが、大手消費者金融会社ほどの伸長ではない。
業態によって統計で把握できるKPIが異なるため、正確な比較は難しいものの、消費者ローン市場では大手消費者金融会社が最も強い成長を見せているといえるだろう。
貸金業規制の強化から19年が経過し、消費者金融のイメージが向上してきた中で、ウェブやスマホで申込みから契約締結までが完結し、貸付の実行が銀行口座への振込で行われるというUI/UXを築いてきたことが、大手消費者金融会社の強みとなっている可能性が高いのではないだろうか。 月刊消費者信用2025年7月号掲載
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