2024年度 決算詳報⑤ 流通系カード会社

流通系カード3社(クレディセゾン、イオンフィナンシャルサービス、ポケットカードの2024年度決算は、3社が共に増収を確保した。クレジットカード事業がトップラインをけん引したが、特にリボ・分割残高を積み上げたことで、収益力を高めた。営業費用では業容連動コストの増加や金融費用の増加といったマイナス要因があったが、貸倒関連コスト・利息返還コストを抑制できたため、営業利益は2社が増益となった(決算期はクレディセゾンのみが25年3月期。他2社は25年2月期。イオンFSの数値は海外事業を除く国内事業決算に基づく。図表は4ページ目にまとめて掲載)。

<クレディセゾン>
営業収益が3000億円を突破

営業収益は3100億円と、前年度比261億円増加し、初めて3000億円の大台を突破した。

21年度以降、4期連続の増収だが、23年度の増収額177億円を大きく上回る成長を見せた。ペイメント、リース、ファイナンス、その他の全ての事業で増収を確保した。

ペイメント事業収益は2381億円と、167億円の増収に。特にカードショッピング収益が1645億円と、134億円増加し、ペイメント事業収益をけん引。カードショッピング取扱高は5兆9870億円で、5.3%増と堅調に推移した。

クレディセゾンのカード事業は、ゴールドカード以上のプレミアム層と法人(個人事業主とSME(中小企業))をターゲットとする「プレミアム戦略」によって、高稼働・高単価の顧客シェアを拡大し、持続的成長と収益拡大を目指すことを基本戦略としている。

このため、カードの分類の定義を見直し、個人のゴールドカード以上と法人(個人事業主とSME)をプレミアムと位置付け、個人の年会費無料カードと大企業向けカードなどを「その他」と定義。

プレミアムのシェア拡大を図っている。24年度の取扱高に占めるプレミアムの構成比は約40%で、23年度よりも約5%ポイント上昇。25年度にはさらに約45%に高める計画だ。

大企業向けのコーポレートカードの使途は出張や会合が中心だが、個人事業主・SME向けのビジネスカードは公共料金などの固定費、経費精算等のSaaS利用料、ウェブ広告などより幅広いユースケースが期待できるのに加え、支払方法も1回払いだけでなく分割・リボの利用が期待できる。

クレディセゾンは個人事業主・SMEをターゲットにすることで、アセット利益の拡大も追求していくスタンスだ。

リボ残高は8.2%増と、4905億円に拡大した。リボ収益は632億円と、99億円の増収だった。24年11月引落し分から、セゾンブランドのリボ手数料を平均2%ポイント引き上げ、最大18%にしたことも、リボ収益の拡大につながった。

カードショッピング収益の内訳を見ると、53.7%を占める加盟店収益のほうが大きいが、増収額は17億円にとどまっており、リボ残高収益がカードショッピング収益をけん引していることが分かる。25年度はリボ残高を5200億円に引き上げる計画だ。

分割残高は164.1%増加し、243億円に達した。

24年10月にリリースした1回払い・ボーナス一括払いの利用分を後から分割払いに変更できる「あとから分割」が好調に推移していることもあり、分割残高が急拡大した。24年度のリボ・分割残高は5148億円と、5000億円の大台を突破した。25年度は5535億円に積み上げる。

25年8月には、一部カードを対象に、未稼働会員へのカードサービス手数料(1650円ないし2200円(税込み))を導入し、金利上昇局面に対応し、収益性向上を目指す。

スルガ銀行との協業も進展した。24年4月にはスルガ銀行の中小企業経営者・個人事業主の顧客向けに「スルガ・セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」、10月には個人顧客を対象に、「スルガ・セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」と「スルガ・セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード」の取扱いを開始した。

付帯サービス開発では、25年3月に全国のTOHOシネマズで毎週木曜日にクレディセゾンが発行するカード会員を対象に、映画を1200円で鑑賞できる「セゾンの木曜日」を開始した。

カードキャッシング収益は244億円と、1億円の減収だった。だが、キャッシング取扱高は1496億円と、1.5%増加している。

ファイナンス事業収益は474億円と、49億円の増収に。このうち信用保証収益は153億円と、14億円増加した。信用保証残高は3429億円で、23.9%増と大きく伸長した。

金融機関向けの住宅ローンが好調に推移しており、住宅ローンの保証残高は135.4%増の1137億円になった。

不動産担保ローン収益は246億円と、33億円の増収だった。主力の投資用マンション向けの「セゾンの資産形成ローン」の実行額は50.7%増加し、1494億円に拡大。

高年収顧客を中心とした良質な債権を積み上げ、残高は7302億円と、0.1%増加した。スルガ銀行とのコラボレーションローン残高は65.6%増の376億円となった。

なお、スルガ銀行との協業においては、23年度はコラボレーションローンや住宅ローン保証などの取組を開始、24年度は前述の通り、クレディセゾンのアメックスカードの共同展開を行うなど、ファイナンスを起点としてペイメント領域に拡大させた。

25年度はバンキングサービスの提供により、粘着性の高い預金残高の積み上げを図る戦略を進める考えだ。

営業費用は2628億円と、168億円増加した。

広告宣伝費が542億円と、80億円増加したほか、業容拡大に伴い支払手数料が742億円と、49億円増加したのが大きい。金融費用も204億円と、58億円の増加要因となった。

貸倒引当金繰入額(債務保証損失引当金繰入額含む)は306億円と、22億円増加した。7.8%増加した形だが、営業資産残高(保証残高を含む)の増加率7.4%増とほぼ同じ水準なので、各事業の成長によるアセットの増加の範囲に収まっているといえる。

利息返還損失引当金への繰入れは発生せず、同コストは23億円の減少となった。

営業利益は471億円と、93億円の増益だった。経常利益は547億円と、86億円の増益だった。

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