2024年度 決算詳報⑤ 流通系カード会社

<イオンフィナンシャルサービス>
子会社譲渡等の影響を打ち返し増収増益を確保

イオンFSは25年2月期。海外事業を含む連結決算ではなく、国内事業決算の業績を紹介する。営業収益は3131億円と、前年度比191億円増加した。

24年3月に、連結子会社のイオンプロダクトファイナンスの全株式をオリエントコーポレーションへ譲渡したことで、個別信用購入あっせん収益が減収となったが、それ以外の事業収益は増収を確保し、トップラインを成長させた。

カードショッピング収益は1061億円と、110億円の増収だった。カードショッピング取扱高は7兆4925億円と、5.8%増加した。

物価上昇を背景に節約志向が高まったことから利用単価が伸び悩んだが、イオングループや提携先企業、加盟店と共同販促施策を展開したのに加え、24年4月に開始したイオンモールでの「お客さま感謝デー」の特典(ゴールド会員限定で毎月20・30日に買物代金を5%引き)の認知向上に取り組むことで、カードショッピング事業の業容を拡大した。

カードショッピング収益の内訳を見ると、加盟店収益が8億円、その他収益が5億円増加しているが、リボ・分割収益が371億円と、96億円増加しているのが目を引く。

ウェブやスマホアプリ(イオンウォレット)で、リボ・分割払いを利用した場合の支払額が確認できるシミュレーション機能、利用明細別や利用日単位でリボ払いに変更できる機能が利便性・安心感の向上につながった。

また。アプリの視認性や操作性の改善に継続して取り組んだことで、リボ・分割払いの利用者を増やすことができた。

リボ・分割払い残高流動化分を含む)は16.3%増加し、3615億円に達した。507億円を積み上げたことになるが、このうちリボ残高は468億円、分割払い残高は39億円の増加だった。

融資収益は643億円と、34億円増加した。

このうち大半を占めているカードキャッシング収益が638億円と、38億円の増収だった点も特筆される。カードキャッシング取扱高は3710億円と、0.1%増加し、カードキャッシング残高は4279億円と、3.58%増の伸長を見せた。

カードキャッシング取扱高及び残高・収益を減らしているカード会社が多い中で、カードキャッシング残高を伸ばし、収益を引き上げられている点は注目に値する。

新規会員や過去利用経験のある会員を対象に利用促進策を実施したほか、AIを活用し、利用見込みの高い会員に個別アプローチをするプロモーションが奏功したという。

この結果、リボ・分割払い残高とキャッシング・無担保ローンを合わせた高利回り債権残高は648億円増の8418億円に達し、目標の8100億円を大きく上回った。

個別信用購入あっせん収益は2億円と、102億円の減収となったが、これは前述のように、子会社の譲渡によるもの。

役務取引等収益は581億円と、19億円の増収だったが、うち電子マネー収益は137億円と、2億円の減収だった。電子マネー取扱高は2兆6302億円と、0.1%増加した。

金融収益が421億円と、93億円増加したことも、トップラインの成長を支えた。有価証券運用による収益が堅調に推移した。

営業費用は2908億円と、85億円増加した。

業容拡大に伴う資金調達額の増加と市場金利の上昇の影響から金融費用が56億円増加したほか、販売管理費が2532億円と、23億円増加したのが主因。

販売管理費の内訳を見ると、販売促進費は197億円と、41億円減少した。アフィリエイト等の出稿チャネルや運用方法を見直し、獲得効率を高めた。

貸倒関連費用(貸倒引当金繰入額、貸倒損失、利息返還損失引当金繰入額の合計)は288億円と、64億円増加した。利息返還損失引当金への繰入れを実施せず、同繰入額は5億円減ったが、貸倒引当金繰入額が43億円、貸倒損失が25億円増えた。営業債権残高の拡大と、後述する特別損失に計上した特殊な手口による不正利用被害の補償額を除いた補償費用によるもの。

なお、連結決算では貸倒関連費用として、オフライン取引を悪用した特殊な手口による不正利用被害の補償費用99億円を特別損失に計上している。

営業費用の増加をトップラインの成長で吸収し、営業利益は222億円と、106億円の増益となった。

イオンFSの基本戦略はイオンカードを中心としたカード会員やAEON Pay(以下、AEONペイ)の会員を獲得し、顧客基盤を拡大することにある。

今回より会員数の基準を見直し、イオンFSが提供するサービス(クレジットカード、AEONペイ、モバイルWAON、銀行口座)の名寄せ後の利用者数(有効ID)をKPIとし、その拡大に取り組んでいる。

25年2月末の国内有効ID数は3615万人で、期首から209万人増加した。このうち、カード有効会員(家族会員を含む、クレジットカードの名寄せ後の会員数)は2616万人で、32万人増加した。

AEONペイの会員数は15.7%増の1145万人に拡大。利用可能箇所数は108万箇所増の303万箇所に達した。

一方、WAONについてはこれまで、イオンリテールとイオン銀行が担っていた電子マネーWAONのイシュイング事業を、25年2月にイオンFSに集約した。 金融サービスにおける全体最適を追求するのが狙いだが、今後はWAONとAEONペイを融合し、新たな決済サービスを展開する考えだ。

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