JCBが資金管理・キャッシュフロー改善ポータル「Cashmap」をリリース
ジェーシービー(以下、JCB)は2025年3月4日、マネーフォワードエックスと金融機関の法人顧客を対...

では、JCBはなぜCashmap Financeの提供を始めたのだろうか。
中村謙志法人ソリューション開発部長は「少子高齢化による労働力不足、デジタル化の進展など、地域金融機関の法人取引先を巡る環境は大きく変化しており、地域金融機関にとって、地元の中小企業や個人事業主を成長につながるソリューションを提供することが課題になっている」との問題意識を高めていたという。
実際、地域金融機関の中には、ネット銀行に対する競争力を高める狙いから、デジタル化による顧客利便性の向上と地域金融機関自身のコスト削減を両立させるため、法人向けのポータルサイトの構築に動いたところが多い。
ただ、中村部長は「有力なサービスやコンテンツを盛り込めず、決め手を欠いていた」と分析する。「Cashmapはそうした状況を打開するツールになり得る」と考えた中村部長は、Cashmapの機能の利用を地域金融機関に提案してきた。
「金利ある世界になると、これまでのペーパーレス化を中心にDX化や効率化を企図した法人向けポータルサイトだけではなく、預金獲得につながるような粘着性のある魅力的なコンテンツを提供する必要性が高まる」とも中村部長は考えていた。
金利が上昇すれば銀行は融資や運用で利ざやを稼ぎやすくなるが、預金をより多く集められる金融機関ほど、収益力を高めることができるようになる。
預金をできるだけ多く獲得するには、地域金融機関が営業戦力を駆使してリレーションシップマネジメント(RM)を展開してきた地元の有力企業だけでなく、これまでインターネットバンキングなどのデジタルチャネルしか提供してこなかった中小企業等にもリーチする必要がある。
中小企業等からコストをかけずに、粘着性の高い預金を集めるには、デジタルのタッチポイントで魅力のあるコンテンツを提供し、法人顧客を固定化していく必要があるだろう。中村部長は、その点でもCashmapは有力なコンテンツになり得ると考えた。
実際、中小企業等の法人取引基盤を拡充し、金利ある世界での優位性を築こうと、新たな戦略を打ち出したメガバンクグループがある。2025年5月に法人向けデジタル総合金融サービス「Trunk」をリリースしたSMBCグループだ。
Trunkはスマホで申し込み、最短翌営業日には口座が開設できるほか、三井住友カードのビジネスカード、各種SaaSサービス、電子契約サービスなどがワンストップで利用できるのが売りだが、資金繰りを改善するためのフレキシブルファイナンス機能や会計SaaSへの連携機能も実装していく考えだ。
Trunkの主なターゲットは中小企業等や新設法人だが、従来であれば、メガバンクは小規模の企業や業歴の浅い企業との取引を拡充しようとは考えなかっただろう。コストに見合う収益が期待できないし、信用リスクが比較的高いからだ。
だが、デジタル技術を活用すれば、低コストで中小企業等にリーチできるようになる。中小企業等と非対面チャネルで関係性を築きながら預金を獲得し、融資やファクタリング等を行えば、中小企業等との取引で利益を確保できるようになるだろう。
そう考えてSMBCグループはTrunkをリリースしたと思われるが、おそらく多くの地銀はTrunkを脅威に感じているに違いない。これまで見向きもしなかった地域の中小企業等に、メガバンクが触手を伸せるようになるからだ。デジタルチャネルであれば、距離という制約もなくなる。地元の法人取引先をメガバンクに奪われかねないのだ。
地域金融機関にそうした危機感が高まる中で、Cashmap Financeがリリースされたという点は、今後のCashmap Financeの展開を占う点で、大きなポイントになるはずだ。
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