Visaがトークンを利用する「クリック決済」を日本で導入
ビザ・ワールドワイド・ジャパン(以下、Visa)は9月16日、日本においてトークナイゼーション技術を...

――第一の柱である社会的意義については、どのような方法論で検討したか。
将来像検討会は社会的意義を既存の課題の解決と新たな未来の創造に分け、八つの意義に整理した。
検討会ではこの八つの意義を踏まえ、将来像検討会後のキャッシュレスの普及によって社会的意義がどう実現されてきたかを振り返るともに、将来像検討会以降の環境変化が社会的意義にどのような影響を与えているかを分析した。
将来像検討会は既存の課題を解決する価値として、消費者の利便性向上、現金決済に係るインフラコストの削減、業務効率化/人手不足解消、公衆衛生上の安心の実現、現金の保有や取引機会の減少による不正/犯罪抑止の五つを、新たな未来を創造する価値として、データ連携・デジタル化、多様な消費スタイルを創造、脱炭素社会への貢献の三つを掲げたが、キャッシュレスの普及によっていずれの価値も向上したと考えられる。
詳しくはとりまとめに譲るが、例えば消費者の利便性では、キャッシュレス決済は現金と比較して支払時間が短くなるメリットがあると指摘されているが、キャッシュレス決済の頻度が高まったことで、利便性がさらに向上したといえるだろう。
現金決済に係るインフラコストの削減効果も、キャッシュレスの普及と同時期にATM台数が減少したことで一定の証明がされたといえよう。
一方、環境変化が社会的意義に与えた影響については、検討会は新紙幣発行、CBDC・ステーブルコインの検討、人手不足の進行、コロナ収束、AIの進化・活用拡大の五つの変化を取り上げ、その影響を分析したが、八つの社会的意義は引き続き重要であるとの認識を共有することができた。
――環境変化で特に注目した点はあるか。
人手不足の進行によって、業務効率化/人手不足対応という社会的価値が以前にも増して大きくなっている点ではないだろうか。とりまとめの11㌻あるように、厚生労働省の「令和6年版 労働経済の分析―人手不足への対応―」によれば、30年代に向けて労働力供給は総消費よりも速いペースで減少していく。
キャッシュレス化のみでこの人手不足に対応できるわけではないが、間違いなく一助にはなる。人口が一気に増えるということはあり得ないので、一助にはなるキャッシュレス化をさらに普及させるべく、いまのうちからしっかりと準備することが必要だろう。
とりまとめにはアペンディックスとして、「大阪・関西万博の全面的キャッシュレス決済運用の効果」を示した。大阪・関西万博の会場内で全面的にキャッシュレスにするという大きな社会実験を行ったわけだが、大きなシステム障害もなく、成功裏に終了することができた。
しかも、全面的キャッシュレスが加盟店に大きな効果をもたらしたことが明らかになった。例えば、万博に出店した事業者7社に対し個別調査したところ、スタッフ1人当たりの売上げは通常店舗の5万5286円に対し、万博店舗は16万5520円と約3倍になった。万博店舗の集客力が高かったのは間違いないが、それだけの売上げを処理できたのは全面的キャッシュレスで回転率が高まったからだろう。
また、釣り銭対応からレジ締め処理、売上報告、売上回収に至るまでの現金関連作業が不要になったことで、現金関連作業時間は通常店舗の1443分に対し、万博店舗は売上データの集計・報告に係る130分だけで済んだ。キャッシュレスによって業務時間が短縮されたことで、余った時間をより付加価値の高い業務に当てる余地が生まれたわけだ。
単純に人減らしができるというのではなく、キャッシュレスはお店の価値や成長力を高める一助になることを、より多くの事業者と共有できればよいと思う。 検討会には日本商工会議所にも委員として参加いただいたが、日本商工会議所も人手不足問題には強い危機感を有しており、キャッシュレスがその一助になることに強く共感していただけたと受け止めている。
――CBDCやステーブルコイン、AIがキャッシュレスの社会的意義に与える影響についてどう見るか。
CBDCについては政府内でも日銀や関係省庁が集まって議論を重ねてきたが、キャッシュレスとCBDCは併存するという共通認識ができあがっている。
従って、仮にCBDCが発行されたとしても、キャッシュレスの社会的意義は変わらないと考えた。ステーブルコインについても併存するだろう。ただ、CBDCやステーブルコインが広がっていくのであれば、後述する指標を再度見直しすることも必要になってくるかもしれない。
一方、AIについては、その進化・活用拡大が進んでおり、決済データをより精緻に分析することで、消費者により適切な商品・サービスをリコメンドすることができるようになりつつある。
消費機会の質・量の両方が向上していると想定されるので、データ連携・デジタル化という社会的意義は引き続き重要であると整理した。
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