セブン銀行が目指すATMプラットフォーム戦略の可能性

2001年5月に営業を開始したセブン銀行が、新たな成長戦略を展開している。19年9月に本人確認書類やQRコードの読み取り機能、顔認証機能などを装備した第4世代ATMの導入を開始すると、ATM台数の増加による面の拡大を図るだけでなく、独自サービスを強化する質の向上にも取り組むようになった。その独自サービスの中核をなすのが「+Connect」(以下、プラスコネクト)だ。顧客にワン・トゥ・ワンのメッセージを送ったり、本人確認を伴う各種手続を受け付けたりすることができるプラスコネクトを戦略商品と位置付け、セブン銀行は銀行等の預金取扱金融機関だけでなく、クレジットカード会社や消費者金融会社、さらには一般の事業会社や地方公共団体などにも顧客基盤を拡大しようとしている。

セブン銀行の三つの事業戦略

セブン銀行の国内事業は、大きく三つの戦略に分かれている。

一つは「リテール戦略」で、セブン銀行が提供する普通預金や定期預金、個人向けローンサービス、デビットカードなどのバンキングサービス、セブン・カードサービスが提供するクレジットカードサービスや電子マネーサービスなどがこのカテゴリーの主な事業である。

二つ目が「法人戦略」で、アクシオンやバンク・ビジネスファクトリーが提供するAMLやサイバーセキュリティ対策などの法人向けサービスがこのカテゴリーの事業だ。

そして、もう一つが、今回のテーマである「ATMプラットフォーム戦略」である。

入出金や後ほど詳述するプラスコネクトがその中核をなすが、セブン・ペイメントサービスが提供する「ATM受取」や「ATM集金」もこのカテゴリーに属している。 

ATM受取は、ECサイトでの返品・返金、キャンペーンのキャッシュバック、アンケートやモニター等への謝礼、地方自治体が支給する給付金などの受取を、ATMを介して行うもの。企業等から個人への送金サービスだ。

ATM集金は店舗の社員や業務委託先からの売上金の回収をATMで行えるようにするサービス。

入金者は専用アプリに表示されたQRコードをATMに読み取らせ、現金を入金するだけでよい。セブン・ペイメントサービスはこうしたソリューションを銀行等だけでなく、事業会社、地方自治体等にも展開している。

後述するようにプラスコネクトが提供するサービスの中にも一般事業者や地方自治体向けのソリューションになり得るものがある。

ATMプラットフォーム事業というと、その対象は銀行等や消費者信用業界と考えがちだが、そうした認識はもはや改めなければならないようだ。

2万8000台を突破したATM網

セブン銀行の中核は、やはりATM事業といってよいだろう。

ATMの設置台数は25年3月末で2万7990台に達し、提携先金融機関数は682社(うちノンバンクは170社)にのぼる。セブン銀行は残存者利益の取り込みを最大化すべく、ATMの設置台数をさらに拡大する戦略を打ち出しており、4月21日には2万8000台を突破した。

年間の総利用件数は10億8900万件で、1台当たりの日次平均利用件数は108.0件と、高稼働を誇っている(24年度実績)。セブン銀行のATMが普及すると、銀行等には自前のATMを削減する動きが続いたほか、ネット銀行のように、そもそも自前のATMを設置しないビジネスモデルも登場した。 セブン銀行のATM台数は、銀行等のATMを含めたATM台数の15.6%を占めるまでになった(23年度実績)。セブン銀行のATMは、現金の入出金インフラとして、社会の重要インフラになったといえるだろう。

リテール金融オンラインとは

リテール金融オンラインは、キャッシュレス決済や消費者金融などに関する主要企業の事業戦略や行政動向など、最新の情報を提供します。

初めての方はこちらをご覧ください。初めての方はこちらをご覧ください。
会員限定

限定記事の閲覧には、会員登録が必要です。
ご登録の上、ご覧ください。

FREE

どなたでも自由にご覧いただけます。
会員登録なしで、気軽にお楽しみください。

人気ランキング

X公式アカウント

最新情報などを配信中!!