オリコがSMEをターゲットに、新たなデジタルプラットフォームを開発

オールインワンのデジタルプラットフォーム

こうしたマーケットリサーチを通じ、橋詰部長は「支払や請求、そして会計までの一連の業務プロセスで発生するさまざまなニーズを解決できるソリューションを一つにまとまった形で提供し、よりシンプルでシームレスなUI/UXで利用できるようにしていかなければならない」という問題意識を深めたという。

例えば、OBSには請求書を発行できる機能があるが、発行した請求書をすぐにファクタリングで資金化できれば、企業は効率的に資金繰りが可能になる。

ただ、それはあくまでも一例で、目指しているのは「企業の資金管理に係る業務全般をDXするさまざまなソリューションと、企業のキャッシュフローを円滑化する決済やファイナンスのソリューションが融合したトータルなソリューション」(橋詰部長)だ。

OBSをさらに進化させ、オールインワンのデジタルプラットフォームを構築しようとしているといってもよいだろう。

「そういうプラットフォームなら、毎日利用され、シームレスなUI/UXに導かれるような形で、当社のさまざまなファイナンスサービスを利用してもらえるようになる」と高畠常務執行役員は期待する。

インタビューからはサービスの存在を忘れており、必要なときにOBSのサービスを使い損ねたといった声も聞かれたという。毎日ログインしてもらえるプラットフォームなら、オリコにとっても機会損失を防げるようになる。

資金繰り支援の文脈でプラットフォームを構築

ただ、会計のDXという点では、弥生やマネーフォワードのようなクラウドサービス(SaaS)がすでに普及している。ただ、こうしたクラウド会計がキャッシュフローを円滑化するソリューションまで提供しているわけではない。ファクタリングや請求書カード払い、ビジネスローンなどのソリューションは、クラウド会計とは別のフィンテック企業が担っている。業務のDXと資金繰りのソリューションが別々に提供されているわけで、利用する企業にとっては不便な状況が生まれているといえるだろう。

こうした実情を踏まえ、オリコは「資金繰りの円滑化という文脈でデジタルプラットフォームを築き、そのプラットフォーム上で網羅的なサービスを提供することを目指す」(橋詰部長)ことにした。

「事業者へのヒアリングを繰り返す中で、そうしたアプローチのほうが競争力を確保できることが分かってきた。資金繰りをどう円滑化するかは、全てのSMEに共通する経営課題だ」と、高畠常務執行役員も新たな戦略に自信をのぞかせる。

オリコが得意とするのは業務をデジタル化できるSaaSではなくファイナンスだから、得意な分野に軸足をおいて、デジタルプラットフォームを構築しようと考えたのだろう。資金繰りに軸足を置きつつ、売掛金・買掛金の管理や会計のDXも実現できる機能を盛り込むわけだ。

言い換えれば、SaaS系の事業者もフィンテックも実現できていないことに、オリコが挑戦するということを意味している。

オリコは「まず、オリコ経済圏にいる100万社超の企業にターゲットを置いて、新たなデジタルプラットフォームを提供しよう」(橋詰部長)と考えているという。

オールインワンのデジタルプラットフォームとして競争力を発揮できるようになれば、「オリコ経済圏の外にいる企業にも提供するオープンな戦略展開も可能になるし、OEM方式で他の事業者に機能を提供することも視野に入れている」。信用保証事業などで提携する地域金融機関向けに、OEM供給する可能性もあるだろう。

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