提携カードの新機軸――オリコの「Neos Business Card」
オリエントコーポレーション(以下、オリコ)は2025年9月11日、テクミラホールディングスの子会社で...

オリエントコーポレーション(以下、オリコ)は2023年4月に、請求書カード払いサービス「OBS(Orico Business payment for SME)をリリース。同年11月には買い手企業が売り手企業のポジションに立つケースを想定し、OBSに「カード払いリクエスト」と請求書代行サービス「OBSプラス」の機能を追加するなど、企業の買掛金・売掛金の管理業務をデジタル化するプラットフォームを提供するというBtoB戦略をいち早く実践してきた企業の一つである。そのオリコが、中小企業や個人事業主をターゲットに新たなデジタルプラットフォームの構築に動き出した。OBSの機能だけでなく、支払・請求・会計(キャッシュフロー管理)の全体をカバーするオールインワンのプラットフォームを目指しているという。オリコの今後の戦略展開を探ってみた。
オリコがBtoB市場を重視してきたことは、これまでの戦略展開からも明らかだが、ではなぜオリコはBtoB市場にフォーカスし、リソースを投入してきたのだろうか。
その理由をカード・ペイメント部門の橋詰直毅カードプロダクト開発部長は、こう説明する。
「対消費者のクレジットカード市場は60年以上の歴史を有するだけに、市場が成熟化しており、クレジットカードの保有率は高水準を維持している。決済事業者のシェアという観点で見ても、勢力図がすでに固まっている。自社のシェアを大きく伸ばすのは相当難しい。
これに対し、BtoB市場はその規模が1200兆円程度とBtoCの300兆円の約4倍と巨大でありながら、法人カードの年間の取扱高はまだ5兆円程度にとどまっており、開拓余地が大きい。
しかも、特定のカード会社が大きなシェアを有するという市場構造にはなっていない。大手のカード会社と同じスタートラインに立って競争ができるという点で、魅力が大きい市場だと認識している」。
オリコがターゲットとするのは、SME(Small and Midsize Enterprises)と呼ばれる中小企業や個人事業主のマーケットだ。
日本の企業数の99.7%を中小企業が占めており、従業員数に占める中小企業の割合も69%と高い。BtoB市場の中でもSMEは特に裾野の広いマーケットといえるだろう。
そのSME市場に対し、「リーチできる経営資源を持っている点がオリコの強み」(橋詰部長)だという。まず、SME向けのビジネスカードなど法人カード事業を展開してきているので、その会員という顧客基盤がある。個品割賦事業を中心とした加盟店数は約90万店に及ぶ。
法人ソリューション部門が手掛けている売掛金決済保証も給油、食品、建材などの業種を中心に導入企業が広がっている。事業性領域における25年3月期の取扱高は5000億円を超えており、オリコの成長ドライバーの一翼を担う。このほか、子会社のオリコビジネスリースも顧客基盤を拡大している。
橋詰部長は「SMEを中心に非常に多くの企業とタッチポイントを有している当社は、BtoB市場における優位性があり、勝ち筋がある」と考え、BtoB戦略を強化してきたと語る。
常務執行役員でカード・ペイメント部門共同部門長の高畠健一氏は、オリコ自身がさまざまな事業を通じて多くの企業とリレーションシップを築いてきたが、みずほ銀行のベーシック層の中小企業取引先を合わせれば、「当社はSMEを中心に約100万社超の企業との接点を有している」と分析する。
日本のSMEは350万社あるといわれているから、「全国のSMEの約3分の1とタッチポイントを持つ点は、他のペイメント会社との比較において大きなアドバンテージになる」と見通す。BtoB市場ならば、加盟店を中心とした「オリコ経済圏」の強みを生かせると考えているわけだ。オリコ経済圏の中心は、従業員20名以下、売上高5億円未満のSMEである。
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