2025年版 クレジット産業白書⑤ 電子マネー市場
決済動向によると、24年の決済金額は6兆1890億円で、前年比3.4%の減少だった。決済件数も減少し...

こうした状況の中で、電子マネー事業者の中には、電子マネーのビジネスモデルを刷新しようとする動きが出てきた。
イオンフィナンシャルサービスは2025年2月に、それまでイオンリテールとイオン銀行が担っていた電子マネーWAONのイシュイング事業を自社に集約した。
続いて、2025年6月にはAEON PayとWAONを統合し、両決済手段の残高を自由に移行できるようにした。
これにより、たとえばWAONカードを利用していたユーザーは、WAONカードをAEON Payに取り込めば、電子マネーWAONカードの残高とポイントを、AEON Payコード残高に変換することができ、AEON Payとしてコード決済で利用できるようになる。
アプリ内でAEON Payコード残高をWAON残高に移行すれば、WAONタッチとして利用することも可能だ。
一方、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)は2024年12月に、「Suica Renaissance」を標ぼうし、10年間をかけてSuicaの機能をグレードアップし、Suicaを「移動のデバイス」から、交通、決済だけでなく、さまざまな生活シーンで利用できる「生活のデバイス」に生まれ変わらせると宣言した。
その一環として、運賃計算などの処理を個々の改札機で行う方式からセンターサーバーで行う「センターサーバー方式」(クラウド化)への切り替えを推進、2026年度中に切り替えを完了する計画だ。これにより、期間を限定した割引運賃などが導入できるようになる。
そして、このセンターサーバー化のシステム基盤を生かし、新たな決済システムを導入する。それが、2025年11月に構想を明らかにした「teppay(テッペイ)」だ。
teppayはセンターサーバーで残高を処理・管理するコード決済で、現在のSuicaの上限額(2万円)を超える決済も可能になる(残高は最大30万円)。
teppay残高は銀行口座、ATM(現金)のほか、ビューカードで入金できる。ビューカードを連携させれば、入金不要で決済ができるようになる。
JR東日本は独自にteppayの加盟店開拓を行うが、JCBのコード決済のプラットフォーム「Smart Code」と連携することで、Smart Code加盟店での利用も可能になる。
teppay残高はteppayユーザー同士で送金することができるほか(銀行口座、ATM等への出金は不可)、交通系IC残高への入金、定期券の購入も可能だ。
アプリ内に「teppay JCB プリカ」を発行すれば、オンライン決済も可能になるという。
JR東日本は2026年秋にteppayをリリースする予定で、モバイルSuicaアプリ内で使えるようにする。2027年秋にはモバイルPASMOにもteppayの提供を開始する。
電子マネーの二大巨頭ともいえるイオンフィナンシャルサービスとJR東日本がコード決済に参入したともいえるが、コード決済と電子マネーを連携させることで、電子マネーの利便性を高めようとしているともいえるだろう。 アプリを起点にオールインワンのキャッシュレス手段を提供する試みとも見て取れる。

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