進化するVisaの顧客エンゲージメント戦略/ファンの情熱とつながるパートナーシップの展開へ
ビザ・ワールドワイド・ジャパン(以下、Visa)はこれまで、スポーツの国際大会を中心としたスポンサー...

続いて、推し活課の久次米ともみ氏が、推し活市場の変化を分析するとともに、クレディセゾンの強みや推し活課の役割について語った。
推し活総研の「推し活実態アンケート2026」によれば、推し活人口は1940万人にのぼり、日本の15~69歳人口の4分の1に当たる規模に成長しているという。2026年中に2000万人を突破すると予測されている。
推し活市場の2026年の推計値は約4.1兆円。久次米氏は「いまや国内有数の消費市場の1つに成長している」と分析する。
推し活市場の変化については、最近は50歳代、60歳代にも推し活が広がっており、久次米氏は「若年層だけではなく、世代を超えた文化」と指摘。推し活は単なる消費ではなく、「生きがいや新しい挑戦を支える、人生を豊かにする文化に変化しつつある」と考察した。
また、推しの対象も広がっており、アイドルだけではなく、スポーツ、音楽、アニメ、ゲーム、ファンシーキャラクター、声優・2.5次元俳優、K-POPなど、さまざまなIPに及んでいる。
さらに、これまでの推し活がCD・DVD、グッズなどのモノの購入が中心だったのに対し、最近はライブ・イベント参加、宿泊、飲食、SNS発信、デジタルコンテンツ、EC、限定体験・特典などを含む、体験型・参加型の消費に広がっている。「だからこそ、カード会社としても新しい役割が求められている」と課題認識を示した。
久次米氏は、推し活戦略においては、クレディセゾンの強みが生かせるという。
クレディセゾンのカード会員の年齢別構成を見ると、50歳代、60歳代以上が全体の60.7%を占める。このボリュームゾーンにも推し活が広がっていることを考えると、「推し活戦略は若年層を新規カード会員として取り込むだけでなく、当社の最大の顧客基盤である50歳代以上とのエンゲージメントを強化できることが、クレディセゾンの強み」だとした。
エンタメ・レジャー領域での決済履歴があり、推し活をしていると目される会員は、していない会員よりも、利用頻度も年間顧客単価も3.9倍と高水準にあるとの分析結果も紹介した。
一方、さまざまなパートナーとのネットワークもクレディセゾンの強みだと強調。グループの一員であるイープラス、提携カードを発行している東宝などのライブやイベント関連のパートナー、宿泊・交通・飲食といった分野のパートナーと4つの国際ブランド、EC事業(STOREE SAISON)、提携カードを発行しているDMM.comなどのデジタルコンテンツ、SNSによる情報発信など、さまざまな企業とのネットワークをクレディセゾンは有していることを紹介。
「クレディセゾンの会員基盤と、クレディセゾングループやパートナー企業のアセットを掛け合わせることで、カードを超えた体験価値を提供し続けられる」と強調した。
IP・推し活戦略を展開し、クレディセゾンの強みを発揮するため、8月1日に「推し活課」を新設する。提携カード、会員限定特典、EC、イベント、デジタル施策などを組み合わせることで、ファンの体験価値を高める企画を展開する。
推し活課のメンバーは総勢8名。それぞれ現在担当している業務を続けながら、推し活課のメンバーとして、推し活戦略を立案する。
音楽、アニメ、スポーツなどの領域で推し活をしてきた社員が集まり、それぞれ推し活領域における深い知識や豊富な経験を生かしながら、ファンの視点でさまざまな施策を企画していく。
また、「推し活課が司令塔となって、社内外のアセットを全社横断的につなぎながら、クレディセゾンならではの推し活体験を作り出していく」(久次米氏)
すでに、20以上の案件が検討中・進行中で、2026年8月以降にスポーツ、VTuber、10月以降にK-POP、11月以降ファンシーキャラクター、2027年1月以降、アーティスト・歌い手に関連する商品・サービス等をリリースする予定だ。アニメ、アイドルの領域でも協議を進めている。
久次米氏は最後に「クレディセゾンは推し活を単なるカードビジネスとは捉えていない。応援する人、挑戦する人に寄り添いながら、人と人、人とIP、人と体験をつなげていく、クレディセゾンらしい推し活事業を進めていく」と宣言した。
カード業界では、前出のナッジ、「『好き』を応援するカード」の発行を続けているエポスカードなどが、推し活を前面に押し出した戦略を展開してきた。
アーティストやキャラクターなどとのコラボレーションカードは、大手カード会社のほとんどが発行しているといってよいだろう。
クレディセゾンがIP・推し活戦略を標ぼうしたことで、より多くのカード会社が推し活にあらためて着目し、戦略を強化するようになるのではないか。
ただ、人気のあるIPコンテンツは限られており、カード会社によるIP争奪戦が激化する可能性もある。そうなるとIPと連携するためのライセンス料などが高騰し、ビジネスとしての採算性を確保しにくくなることも予想される。
クレディセゾンが展望するように、自社やパートナー企業のアセット・リソースを融合させ、IPホルダー側のビジネスの成長を実現し、Win-Winの関係を築けるような企画力、プロデュース力が優劣を決めるのかもしれない。

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